2011年11月15日火曜日

イタリアの首相交代

先日、イタリアの顔として17年間続いたベルルスコーニに変わり、
経済の専門家とされるマリオ・モンティが首相に就任しました。

経済の専門家が就任したことで、
欧州の経済危機を乗り切れるかということが
話題となっているようです。

しかし、欧州の問題がこのまま解決に
向かうとは考えられません。

そもそもこの欧州の危機の根本が
何なのかについて誰も何も語っていません。

根本は欧州全体に広がる大きな借金であり、
その借金が返せないことが問題なのです。

ギリシャがデフォルトすると国債を買っていた銀行は
損を被ることになりますが、銀行はそれをしたくないのです。

しかし、そうしないで引きのばすことで
ますます借金は増えていっています。

実際、少し前に決まったEFSFでは欧州には補てんする
お金がない(ドイツが出し渋っているだけ?)のに、
レバレッジをかけて補てんする法案が通ってしまいました。

2,900億ユーロしかないのに1兆ユーロの債務を
保証するというのです。

これはCDSの問題と同じです。
どこかの会社が破たんした場合、CDSという保険をかけていたのですが、
連鎖的に倒産してしまうとCDS自体の保証がなくなってしまうのです。

経済の専門家マリオ・モンティも
小手先の技を使って延命をはかることは得意そうですが、
借金を減らすことを考えているようには見えません。

2011年11月7日月曜日

金リース・レート

預金をしていれば金利が付きますが、
金はモノだから保有していても金利が
つかないというのが世間の常識だと思います。

しかし、金でも金利をつけることが可能です。

金を貸し出すことによってそれに対する金利をもらうのです。
その金利を金リース・レートと言います。

金リース・レートはJPモルガンによって開発されました。

金リース・レートが開発される前は、
各国の中央銀行は金を保有していましたが、
その金には金利が付きませんでした。

さらに80年代から90年代にかけて
金価格は下落を続け、
一時は中央銀行が金を持つ意味はないとさえ
言われた時代がありました。

そういう中で、金を貸し付けて金利をつけようと考えたのです。
頭いいですね、JPモルガン。

では、誰が金を借りるのでしょうか?

鉱山会社や宝飾業者です。
鉱山会社や宝飾業者は価格が高いうちに金を借り付けて、
市場で売ってしまいます。
そして、金価格が下がった時に生産した金で
借りた金を返却するということです。

中央銀行は金を貸し出して、
金に金利が付いて返ってくれば損はしません。
(貸し付けた金が必ず戻ってくるとは言い切れませんが。)

しかし、鉱山会社の意に反して金価格が上昇した場合、
鉱山会社は本来得られる利益よりも
低い利益しか得られないことになります。

2011年11月4日金曜日

アメリカ国債 債務残高 その2

今年、2011年の8月頃に問題になっていた米国債のデフォルトについてですが、
結局、アメリカの議会は債務上限を引き上げ、デフォルトは回避されました。

今は米国の問題は表に出てこず、
マーケットはユーロの問題に注目をしています。
私にはEFSFでユーロの問題は治まったという見方には懐疑的です。
ユーロはさらなる下落を見ることになるでしょう。

話は米国債の問題に戻りますが、当時、
アメリカは債務上限を14.3兆ドルと定めていましたが、
今年の5月にその債務上限を超えてしまうことがわかり、
国債の返済が滞って、デフォルトを迎える可能性があるとされていました。

しかし、結局は債務上限は引き上げられ、
デフォルトには至りませんでした。
債務上限はその前から毎年のように引き上げられていましたが、
結局は今回もデフォルトを避けるためにさらに借金を重ねたのです。

では、アメリカがデフォルトせずに債務上限を引き上げたからといって、
ハッピーなのでしょうか。
私はむしろ、アメリカがデフォルトしないからこそ、
長期的にはアメリカドルに弱気です。

もはや借金まみれのアメリカが取れる選択肢は
下記の3つのうちのどれかになります。

1. 歳出を大幅に、本当に大幅にカットし、今すぐ借金を減らす方向へ舵を切る。

2. もう、借金は返せない。デフォルトして借金を踏み倒す。

3. 問題は難しいので、見ないふりをして借金を増やし続ける。

「1」の選択肢を取った場合でもこれだけ増えた借金を
減らすことは難しいでしょう。
今年の夏、14.3兆ドルの壁を超えたアメリカの借金は、
歳出の数%を削ることさえ議会でもめにもめて、
結局問題は先送りされてしまいました。

アメリカが返せないことを認めれば「2」の状況になります。
米国債は紙くずとなり、キャッシュに逃げ場を求め、
アメリカドルが強くなるでしょう。
しかし、今の資本主義市場経済を作り上げてきたアメリカが、
世界経済の基盤ともいえる米国債のデフォルトを
宣言できる勇気があるでしょうか。
私はアメリカがどんなに借金を返せないと分かっていても、
デフォルトを認めることはしないだろうと思います。

そして、結局は「3」を選ぶことになります。
選ぶというか、「1」も「2」も実行できないので、
「3」になってしまうでしょう。

さらなる借金を続け、
さらにお金を刷り続けるということです。
スマートなマネーは余計に実物資産に
流れていくことになるでしょう。

もし、他の答え(選択肢)があるのであれば誰か教えてください。

2011年11月3日木曜日

アメリカ国債 債務残高 その1

前回に引き続き、アメリカの経済統計シリーズで、
今回はアメリカの国債債務残高です。

要は、どんだけ借金してるのかということです。



アメリカは、1990年から2000年までに借金を2倍に増やし、

ここ10年間ではさらに2.5倍程度に増やしているんですね。

この伸びは指数関数的に伸びています。
10年で2倍のスピードで増えていった場合、
2020年には24兆ドルを超える程度になります。

私にはそこまでアメリカが借金できるのかどうかわかりません。

アメリカが借金できるかというよりは、
世界の人々がそこまでアメリカドルを
信頼し続けられるかどうかにかかっています。

2011年11月1日火曜日

アメリカのマネタリーベース推移

マネタリーベースとは、
現金通貨と民間金融機関が保有する
中央銀行預け残高のことです。

こういうとちょっと難しいですが、
通貨供給量といえばわかりやすいでしょうか。

要は、どれだけお金を刷ってるかっていうことです。

下のグラフは、FRBが公表している
過去10年間のマネタリーベースの推移です。


重要なことは、このグラフはしっかり公表されて、
誰もが見ることができるということです。

もちろん、ほとんどニュースでは取り上げられませんが。。

リーマンショック以前は8,000億ドル程度だった
マネタリーベースはそれ以降に急増しています。

今では、過去の4倍に届くほどのお金を刷りまくっていて、
過去の量に戻るどころか、
それ以降も増加傾向にあるのです。

このお金の刷りまくりの状況を知っていて、
ドルを持ち続けることができるんでしょうか。

ドルをたくさん刷れば、それだけドルは減価します。
口座にドルは変わらずに存在するかもしれませんが、
ドル全体の総量が増加することによって、
1ドルの価値は減っているのです。

ドルが安くなって行くのは必然です。
(とはいえ短期的にドル高の予想は変わっていません。)

これはある意味、泥棒よりも厄介です。
経済に関心のない人はドルの価値が減っていることに
気づきもしないのですから。
そして、気づいたときにはもう手遅れなのです。

その頃には、ドルはもう使い物にならなくなっているでしょう。
その他の紙の通貨もドルとさほど違いはありません。

だからこそ、私は政府に、中央銀行に
腹を立てているのです。

まじめに政府(通貨)を信頼し、
預金していた人が一番損を被るのです。

親しい人たちがそうなるのを見たくはありません。